関節注射はじめました。

関節注射って?

関節の軟骨がすり減って変形性関節症という状態になり、関節の痛みが出るわけですが、残念ながらすり減った軟骨を元の状態に戻すことはできません。そこで、痛みを和らげるための対処として次の2種類の関節注射薬があります。

ヒアルロン酸

まず、普通整形外科でもっとも多用されているのは、 いわゆる潤滑剤のヒアルロン酸が薬剤名です。

自然の関節液の成分に近い物質で非常にヌルヌルしています。5週間連続(計5回)膝に注射します。間隔はだいたい1週間ですが、2週ぐらいになっても問題ありません。効果がなければ2回目、3回目は行いません。

注射したあと、直後や当日~3日はかえって痛みや腫れが強くなることもあります。そのあと徐々に効いてくる場合と、結局効果がない場合もあります。注射後、ひどい痛み・腫れ、発赤、熱感がある場合、細菌感染の危険の恐れがあるのですぐに受診してください。感染の場合、上記の異物反応と違い、直後よりも2-3日してから徐々に痛みが強くなる傾向があります。水がたまっている場合には薄まってしまうためほとんど効果は期待できません。当日入浴・シャワー等は感染症予防のため控えてください。

ステロイド剤

水がたまって腫れている膝では炎症を伴っているので、ヒアルロン酸単独ではあまり効果が期待できません。その場合にはステロイドが非常によく効きます。

ただし、何度も繰り返すとかえって軟骨を痛めるおそれがあるので最低3ヶ月以上の間隔をおく必要があります。また1年に計2回までとしています。

 

関節注射による合併症

関節注射のもっとも危険な合併症は感染です。
関節のなかというのは血流が少ないため、たとえば心臓や腎臓などの臓器と比べても極度の無菌状態が保たれていると同時に感染には非常に弱くなっています。 

関節注射をするときの注意点

感染の危険をできるだけ減らすために次のことに気をつけてください。

注射をすることがわかっている場合には前もって石鹸で皮膚のあかをよく落として清潔に保っておくこと。

注射をした日は風呂、シャワーは極力控えること。
(なぜなら、感染は注射をした後の針穴から細菌がはいるのではなく、針をさすときに皮膚の上にいる細菌を針で関節内に押し込むことで発生することがわかっているからです。)

注射をしたところが赤くなる、痛みがかえって強くなる、腫れる、熱が出るなどの症状が
あれば予約前でもすぐに受診してください。